記事作成日:2025年12月11日

リチウムイオン電池を使った機器の事故がここ数年で大きく増えており、とくにモバイルバッテリーなど身近な製品で発火が目立っています。

NITEに報告された「リチウムイオン電池搭載製品」の事故は、2020~2024年度の5年間で1,800件超に達し、その約8~9割が火災に結びついています。

モバイルバッテリーの事故件数は、2015年度と比べて2024年度は約7倍まで増加しており、他にも電動アシスト自転車用バッテリーやポータブル電源、ノートパソコン、スマホ、タブレット、イヤホン、スマートウォッチなど、日常的に使う製品での事例が多数報告されています。

主な発火原因

内部短絡(セル内部のショート)、過充電・過放電、高温環境での使用・放置、強い衝撃や変形、劣化・水分侵入などが典型的な原因です。

車内に放置したモバイルバッテリーが夏場の高温で異常発熱・発火したケースや、階段から落として変形したバッテリーをそのまま使い発火したケースなど、使用者の誤使用・不注意が絡む例も多く報告されています。

リコール対象の電動アシスト自転車用バッテリーを使い続け、内部劣化からセルが短絡して火災に至った事例もあり、製品側の不具合や設計上の問題が背景にあるケースもあります。

事故は年間を通じて発生しますが、統計上は気温が上がる春~夏に増え、6~8月にピークが見られます。高温になる車内、直射日光の当たる窓際、布団やソファの下など、熱がこもりやすい場所での充電・放置は危険です。

高エネルギー密度化(小型で大容量)や急速充電の普及により、内部に蓄えるエネルギーが増え、ひとたび異常が起きた際の発火リスクが相対的に高まっています。

ごみ分別の不徹底により、廃棄されたモバイルバッテリーの破砕・圧縮時に発煙・発火するトラブルも増えており、ゴミ収集車や清掃工場での火災につながっています。

消費者側でできる対策は?

以下のような使用方法をこころがけましょう。

  • 高温環境(炎天下の車内など)で放置しない
  • 留守中や就寝中など、万が一発火した際に対応できない状況で充電しない
  • 充電中は布や可燃物で覆わない
  • 異常な発熱や膨らみ・変形・異臭があればただちに使用を中止する
  • 落下・水没後の使用を避ける
  • 充電器やケーブルは指定規格のものを使う
  • ごみとして捨てず自治体のルールに従って回収に出す

製品の選択について

正規品・認証品を購入しましょう。Amazonに出品している業者から購入したモバイルバッテリーが発火して火災となり、被害者がAmazonを相手に損害賠償を求める訴訟を起こして話題になったこともありました。火災となると被害は深刻です。多少価格が安くてもよくわからないメーカーの製品や、よくわからない出品者からの購入は避けた方が無難です。

アマゾンで購入の中国製バッテリー出火 責任の所在は

アマゾン側の勝訴確定 購入したモバイルバッテリー発火で自宅火事、損害賠償訴訟

また、手間でもリコール情報を定期的に確認することが重要です。モバイルバッテリー大手のAnkerでも、いくつかの製品が回収対象となっています。

製品回収情報 | Anker Japan

リチウムイオン以外の電池は大丈夫?

「リチウムイオン以外なら絶対安全」というわけではなく、どの充電池にも発熱・破裂・発火のリスクはあります。一般的にリチウムイオンより発火リスクが低いとされていますが、同じように注意して扱いましょう。

  • ニッケル水素電池(Ni-MH):充電式乾電池として家電などに広く使われています。リチウムイオンよりエネルギー密度が低く、発火リスクも相対的に低いとされています。
  • ニカド電池(Ni-Cd):過充電や過放電に強い頑丈な電池で、非常用電源や業務用機器に利用されますが、カドミウムが有害なため環境面での懸念があります。
  • 鉛蓄電池:自動車用バッテリーなどで古くから使われ、安全性や技術的実績はありますが、ショートや誤使用でガス発生・破裂の危険は残ります。

参考

リチウムイオン電池使用製品による発火事故に注意しましょう | 消費者庁

リチウムイオン電池搭載製品の出火危険 | 東京消防庁

リチウムイオン電池の混入による発煙・発火の危険性について

リチウムイオン電池に起因する火災の現状と対策

モバイルバッテリーの事故増加 10年で7倍に

製品安全情報マガジン Vol.481 7月22日号「リチウムイオン電池搭載製品の事故」

【身近に潜む危険】モバイルバッテリーなど「リチウムイオン電池」火災が相次ぎ消費者庁が注意喚起

バッテリーの基礎知識第1回 電池の種類、特徴、性能指標

蓄電池設備の火災危険に関する検証について(PDF)





👇このページのQRコード


    この記事をシェア👉🏻



この記事のカテゴリー
この記事のタグ