記事作成日:2025年3月13日

はじめに

デジタル化が進む現代において、情報セキュリティは企業にとって最も重要な課題の一つです。特に、企業のシステムやデータへのアクセスを適切に管理することは、セキュリティを強化するための基本的なアプローチとなります。このようなアクセス管理を行うために必要なのがIAM(Identity and Access Management) です。

IAMは、ユーザーの認証、認可、リソースへのアクセス制御を行う仕組みであり、企業が情報資産を守るために不可欠な要素です。本記事では、IAMの基本的な考え方とともに、Google Cloud Platform(GCP)におけるIAM機能を具体例として取り上げ、その導入方法と利点について紹介します。

IAM(Identity and Access Management)とは?

IAMとは、ユーザーやデバイスの認証と、それらがアクセスできるリソースの制御を行う管理体系です。適切なIAMの導入により、企業は誰がどのリソースにアクセスできるかを明確にし、不正アクセスを防ぐことができます。 具体的な機能としては、以下のようなものがあります:

  • ユーザー認証:
    システムへのアクセスを許可するためにユーザーを識別する。

  • アクセス制御:
    誰がどのリソースにアクセスできるか、またそのアクセスレベル(閲覧、編集、削除など)を制限する。

  • 監査とモニタリング:
    アクセス履歴や操作を追跡し、異常があればすぐに対応できるようにする。

GCPにおけるIAM機能

Google Cloud Platform(GCP)は、企業がクラウドインフラを管理するための強力なツールを提供しており、その中でもIAM機能は非常に重要です。GCPのIAMは、企業がクラウド上でのアクセスを効率的かつ安全に管理するために、豊富な機能を備えています。

1. 役割ベースのアクセス制御(RBAC)

GCPのIAMでは、ユーザーやサービスアカウントに対して「ロール」を割り当て、アクセス権限を管理します。ロールは、あらかじめ定義されたプリンシパルロール(オーナー、編集者、閲覧者など)や、カスタムロールを作成して細かく設定できます。 例えば、あるユーザーに「閲覧者」ロールを付与すると、そのユーザーはプロジェクト内のリソースを閲覧することができますが、編集や削除などの操作はできません。これにより、最小権限の原則を実現し、必要以上の権限を与えないように管理できます。

RBAC:Role-Based Access Control

ロール(Role) とは、アクセス制御における概念で、ユーザーやグループに対して「どのような権限」を付与するかを定義するもの。

2. 多要素認証

GCPは、ユーザーの認証時に多要素認証(MFA)を導入することで、セキュリティを強化します。MFAを有効にすると、ユーザーはパスワードに加えて、スマートフォンで生成される認証コードや、物理的なセキュリティキーなどを使用してログインします。これにより、仮にパスワードが漏洩しても、他の認証要素が必要になるため、悪意のある攻撃者からのアクセスを防ぐことができます。

3. 条件付きアクセス

GCPのIAMには、ユーザーのアクセス条件(例えば、IPアドレスやデバイスの状態)に基づいてアクセスを制御する条件付きアクセスの機能があります。この機能を使うことで、特定の条件が満たされた場合のみアクセスを許可するように設定できます。例えば、会社のネットワーク内からのみアクセスを許可し、外部からのアクセスは制限することが可能です。

4. 監査とトラッキング

GCPでは、すべてのIAM操作(アクセスの試行、権限の変更、ロールの割り当てなど)をCloud Audit Logsを使用して監査できます。これにより、ユーザーがどのリソースにアクセスしたか、どのような操作を行ったかを追跡でき、万が一のセキュリティインシデントが発生した際には、詳細なログデータを元に迅速に対応することができます。

GCPでIAMを導入するメリット

GCPのIAM機能を導入することで、以下のようなメリットが得られます。

1. セキュリティ強化

IAMを活用することで、最小権限の原則を徹底し、ユーザーが必要なリソースにのみアクセスできるように設定できます。また、MFAや条件付きアクセスを導入することで、認証セキュリティを強化し、リスクを大幅に軽減することができます。

2. 効率的なアクセス管理

GCPのIAMは、シンプルで直感的にアクセス権限を設定できるため、運用が効率化します。ユーザーにロールを割り当てることで、個別にアクセス権限を設定する手間を省け、管理コストを削減できます。

3. コンプライアンス遵守

GCPのIAMには、監査ログ機能が備わっているため、アクセス履歴や権限変更の履歴を記録しておくことができます。これにより、外部監査やコンプライアンスの要件に対応しやすくなり、規制を遵守するための証拠を提供できます。

4. スケーラビリティ

GCPはクラウドプラットフォームであるため、企業が成長するにしたがって、IAMのスケーリングも容易に行えます。新たに追加されたユーザーやリソースに対しても、柔軟にアクセス管理を拡張することができます。

まとめ

IAMは、企業のセキュリティを強化するために不可欠な要素であり、GCPのIAM機能を活用することで、リソースへのアクセス管理を効率的に行い、セキュリティリスクを最小化することができます。GCPのIAMは、シンプルな役割ベースアクセス制御や多要素認証、条件付きアクセスなど、強力なセキュリティ機能を提供し、企業が安全にクラウド環境を利用できるようサポートします。今後、クラウド環境をより多くの企業が利用する中で、GCPのIAMはますます重要な役割を果たすでしょう。

当社では普段GCPを利用してアプリ開発をしています。
IAMの活用事例としてGCPを取り上げて見ました。




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