記事作成日:2025年3月12日

企業が直面しているセキュリティの課題は、日々進化するサイバー攻撃に対してどれだけ迅速に対応できるかにかかっています。 これに対処するために、ゼロトラストセキュリティ、UTM(統合脅威管理)、EDR(エンドポイント検出および対応)はそれぞれ異なる方法でネットワークとデバイスの保護を実現しようとしています。 今回は、ゼロトラストセキュリティ、UTM、EDRのアプローチの違いを比較し、それぞれの強みや限界を説明します。

ゼロトラストセキュリティとは?

ゼロトラストセキュリティは、前提として「誰も信頼しない」アプローチを採用します。

ネットワーク内外のユーザー、デバイス、アプリケーションに対して、常にアクセスを検証し、必要最小限の権限を付与することを基本としています。

ゼロトラストは、アクセスのたびにユーザーやデバイスの信頼性を評価し、リスクを最小限に抑えることを目指します。


特徴:

  • すべてのアクセスリクエストを検証する。
  • ネットワーク内部も信頼しない。
  • 最小権限の原則。
  • リアルタイムでの監視とアクセス制御。

利点:

  • 内部および外部からの攻撃に強い。
  • リモートワークやクラウドサービスにも対応可能。
  • 脅威の早期発見が可能。

課題:

  • 導入が複雑で時間がかかる。
  • 継続的な監視とアクセス管理が必要。

UTM(統合脅威管理)とは?

UTM(Unified Threat Management)は、企業のネットワークを保護するために、複数のセキュリティ機能を一元的に管理するためのソリューションです。通常、UTMはファイアウォール、アンチウイルス、侵入検知(IDS)、侵入防止(IPS)、コンテンツフィルタリング、VPNなどの複数の機能を統合したハードウェアまたはソフトウェアです。

特徴:

  • 複数のセキュリティ機能(ファイアウォール、IDS/IPS、ウイルス対策、VPNなど)を一つのプラットフォームで提供。
  • 中小企業向けに簡単に導入可能な全体的なセキュリティ対策。

利点:

  • 統合された管理により、運用が簡素化される。
  • 包括的なネットワーク防御が提供される。
  • リソースの管理が一元化される。

課題:

  • 専門的な脅威に対する対応が限定的。
  • 大規模なネットワークや複雑な環境には不向き。
  • 各機能が個別に対応するため、細かなセキュリティ制御が難しいことがある。

EDR(エンドポイント検出および対応)とは?

EDR(Endpoint Detection and Response)は、企業のネットワーク上のすべてのエンドポイント(コンピュータ、モバイルデバイス、サーバーなど)を保護するためのセキュリティ技術です。EDRは、エンドポイントで発生する不正な活動を監視し、攻撃を早期に発見して対応することを目的としています。

特徴:

  • エンドポイントの行動監視と異常検知。
  • 脅威の検出、調査、応答を行うツールを提供。
  • 企業のエンドポイントに特化した高度なセキュリティ分析。

利点:

  • エンドポイントで発生する不正アクセスやマルウェアを早期に検出。
  • 侵入後の対応が迅速に行える。
  • インシデント対応とフォレンジック分析が可能。

課題:

  • エンドポイント単体での防御に限界がある。
  • 大量のデータを処理するため、リソースを多く消費する。
  • 脅威が複数のエンドポイントに広がると、早期発見が難しくなる。

ゼロトラスト、UTM、EDRの比較

特徴 ゼロトラスト UTM(統合脅威管理) EDR(エンドポイント検出と対応)
目的 すべてのアクセスを検証し、信頼しない 複数のセキュリティ機能を統合してネットワークを保護 エンドポイント上の脅威を検出・対応する
カバー範囲 ネットワーク全体、内部および外部 ネットワーク全体 エンドポイントに特化
リアルタイム監視 あり あり あり
最小権限の原則 強調される 一部サポートされる 限定的
インシデント対応 継続的な監視とリアルタイムでのアクセス制御 基本的な対応(IDS/IPS機能) 高度なインシデント対応(検出、調査、修復)
実装の難易度 高い 低い(簡便にセットアップ可能) 中程度(エンドポイントごとの対応が必要)
柔軟性 非常に高い 限定的 高い(エンドポイントごとの管理が可能)

結論

ゼロトラスト、UTM、EDRはそれぞれ異なるアプローチを取るセキュリティ技術ですが、いずれも現代の企業における重要な役割を担っています。

ゼロトラストは、全体的なセキュリティ戦略としてネットワーク全体に適用され、内部および外部の脅威を効果的に管理するためのアーキテクチャです。

UTMは、簡便に導入できる統合されたセキュリティ対策を提供し、中小企業などで広く使用されます。EDRは、特にエンドポイントの監視と早期発見に特化しており、細かなインシデント対応が可能です。

企業のニーズや規模、リソースに応じて、これらの技術を組み合わせて導入することで、より強力で包括的なセキュリティ対策を構築することが可能です。



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