記事作成日:2025年3月11日

デジタルフォレンジックとは?

デジタルフォレンジック(Digital Forensics)とは、コンピュータやスマートフォン、ネットワークなどのデジタルデバイスに保存されたデータを解析し、犯罪捜査や企業のセキュリティ対策に活用する技術のことです。サイバー犯罪の増加に伴い、デジタルフォレンジックの重要性が年々高まっています。

「フォレンジック(Forensic)」 は 英語 で、語源は ラテン語の「forensis」 です。

意味 : 「法廷の」「犯罪捜査の」 という意味を持ち、法的手続きや証拠分析に関連する科学的手法を指します。

デジタルフォレンジックの主な目的

デジタルフォレンジックの目的は、デジタルデータの証拠を確保し、正確な分析を行い、必要に応じて法的手続きに活用することです。主に以下のようなケースで活用されます。

  • サイバー犯罪の捜査(ハッキング、マルウェア攻撃、フィッシング詐欺など)
  • データ漏洩や内部不正の調査
  • ランサムウェア感染によるデータ復旧と原因特定
  • 法的証拠の収集(民事・刑事事件)
  • 企業のコンプライアンス遵守やインシデント対応

デジタルフォレンジックのプロセス

デジタルフォレンジックは、厳格な手順に従って進められます。以下の主要なプロセスがあります。

1. 証拠の収集

  • デバイスのハードディスク、メモリ、クラウドストレージなどからデータを取得。
  • データの改ざんを防ぐため、イメージファイルを作成し、元のデータを保全。

2. データ解析

  • 不正アクセスの痕跡や削除されたファイルの復元。
  • メタデータの分析により、データの作成・改変日時やアクセス履歴を特定。
  • ランサムウェア感染の原因究明や暗号化されたデータの復旧試行。

3. 証拠の保全

  • 証拠の整合性を維持するため、適切な保存方法を採用。
  • ログの記録やチェーン・オブ・カストディ(Chain of Custody)を確立。
    • Chain of Custody(証拠の連鎖) とは、デジタルフォレンジックや法的手続きにおいて、証拠の取得・保管・解析・提示までの各段階で、その真正性と完全性を証明するための記録管理プロセスのことです。
    • custody : 保護権、監督権、親権

4. 報告書の作成

  • 調査結果を詳細に記録し、必要に応じて法的機関に提出。
  • 証拠の解釈や調査方法を説明するレポートを作成。

5. 証拠の提示

  • 法廷や企業のセキュリティチーム向けに証拠を提示。
  • 分析結果を理解しやすい形で報告。

ランサムウェア感染による被害とデジタルフォレンジックのコスト

ランサムウェア感染が発生すると、業務が停止し、データ復旧のために多大なコストがかかる可能性があります。特に、デジタルフォレンジックの調査費用は高額になりがちであり、以下のようなコストが発生します。

  • データ復旧費用:暗号化されたデータを復旧するための専門サービス。
  • 調査費用:感染経路の特定や影響範囲の分析にかかる費用。
  • 法的対応費用:個人情報漏洩が発生した場合、法的な手続きに関するコスト。
  • 事業損失:業務が停止することで発生する生産性の低下や信用の失墜。

ランサムウェア対策の必要性

デジタルフォレンジックによる対応が必要になる前に、ランサムウェアへの対策を講じることが重要です。以下の対策を実施することで、感染リスクを大幅に低減できます。

  • 定期的なバックアップの実施:オフライン環境にバックアップを保存し、復旧可能な状態を維持。
  • 最新のセキュリティ対策の導入:ウイルス対策ソフトやEDR(Endpoint Detection and Response)を活用。
  • 従業員へのセキュリティ教育:フィッシングメールや不審なリンクに対する意識を向上。
  • ゼロトラストセキュリティの採用:アクセス管理を厳格化し、不正アクセスを防ぐ。
  • インシデント対応計画の策定:感染発生時の対応フローを明確化し、迅速な対応を可能にする。

まとめ

デジタルフォレンジックは、現代のサイバーセキュリティと法執行に不可欠な技術です。しかし、ランサムウェア感染などのインシデントが発生すると、デジタルフォレンジックの費用が高額になり、企業にとって大きな負担となることがあります。そのため、事前に適切なセキュリティ対策を講じることで、被害を最小限に抑えることが重要です。技術の進化とともに、今後もデジタルフォレンジックの活用範囲は拡大していくでしょう。



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